お悩み相談「いつも一人で遊んでて大丈夫?」小崎恭弘先生の“こんなとき保育でどうする”

「いつも一人で遊んでて大丈夫?」小崎恭弘先生の“こんなとき保育でどうする”

「こんなとき、子どもにどう接したらいいのかな…」

保育をしていくなかで、繰り返し目にするシチュエーションに戸惑ったり、とっさに子どもたちに言葉がかけられなかったりして、「これって大丈夫かな」「何て言えば良かったのかな」と悩まれる方は、少なくないでしょう。

この連載では、大阪教育大学・教育学部准教授の小崎恭弘先生に、現場で働く保育士が直面している、いろんな悩みにお答えいただきます。

第1回は、“一人で遊んでいる子ども”への、保育者の関わり方の相談です。

“一人で遊んでいる子ども”とは?

今回の相談内容は、「4歳児のクラスを担当しています。少しずつ子ども同士の関わりが増えていくなかで、いつも一人で遊んでいる子がいるのですが、大丈夫ですか?」というものです。

どのような環境のもとにいるかで、保育士さんごとにさまざまな子どもの姿を思い浮かべるかと思いますが、最初にまず、この質問にシンプルにお答えします。「大丈夫です」。なぜなら、子どもたちは本当に一人ひとりが特別な個性と人格の持ち主で、その子なりの思いを持って成長を遂げるからです。

では、一人で遊んでいる子どもは、どのような個性や思いを持っているのでしょうか?子どもの視点から考えてみましょう。

“一人で遊んでいる子ども”とは?

私自身は、一人で遊べているのは「しっかりと自分の中で楽しさを見つけられる」子どもであり、ある意味で「意思の強い」子どもだと感じます。皆さんはどのように感じますか?

一人でとことん遊ぶ姿は、人としての力強さと自己に対する信頼感の現れとも言えます。自分の好きなことを貫く姿勢や取り組みは、そのこと自体に大きな可能性を感じるのです。そういう視点で考えて、「大丈夫です」とお答えしました。

(反対に、年齢にもよりますが、一人で遊べない子どものなかには、いつも誰かについていったり、真似をしていたり、指示や誘いを待っていたりするだけのケースもあります。このような姿も子どもの一つの性格や個性であると言えますが、成長や今後を考えると、こちらの方が少し心配かもしれません。)

今回のご相談の子どもは、おそらく「きちんと遊ぶことができている」のではないでしょうか。だとすれば、保育者としては、まずは子どもが満足できるようにしっかりとその遊びを保証してあげることです。同時に、何かしらの手立てや環境構成をすることで、別の遊びに発展していく可能性も広げてあげましょう。

保育者として何が気になるのでしょうか?

おそらく、この質問をされた先生は、子どもが自分の遊びだけに没頭する中での、「他人との関わりの少なさや弱さ」が目についてしまっているのではないかと思います。これについて、もう少し考えてみましょう。

保育者として「他のお友達と仲良く遊んでもらいたい」という気持ちは、とてもよくわかります。集団保育の最大の特徴は、人と人とが集う豊かな人的環境の存在です。家とは違う環境の中で、しっかりと他者と関わる経験をしてほしいと思いますし、ともに遊ぶ経験を積みながら、コミュニケーションをとってほしいですよね。

しかし、必ずしもクラスの子どもたちが全て、同じように人やお友達と関われるかというと、そんなことありません。人と人との関わりは、その子ども自身の個性や、それまでの人との関わりの経験などによっても左右されます。人同士の相性や、クラスの関係性などによっても変化します。

保育者として何が気になるのでしょうか?

また、もう少し別の視点で考えると、「今は良いけれど、このあとの成長の中で、平行遊びや集団遊び、ごっこ遊び、ルールに基づいた仲間遊びなどができなくなるのでは」と少し心配をしているのかもしれません。

その思いや目の付け所もよくわかります。もしかすると、以前見ていたクラスの子どもで、担任をしていた間ずっと、この心配を抱えたままだった経験があるのかもしれません。しかし、これは先回りの心配であると言えます。それらの子どもたちも、長い目でその後を見れば、しっかりと育っていったのではないでしょうか。

保育者としては、その子どもを「他の子どもと一緒に遊べるようにする」のではなく、「他の子どもたちがその子の周りにきたり、一緒に遊べるような環境や取り組みをしてあげる」ことをしてほしいと思います。まずは一人遊びを見守りながら、環境や援助、周りのお友達の関心を高めてみるのです。

このことが、その子どもにとってもクラスの他のお友達にとっても、豊かな関わりにつながると考えています。

一人で遊んでいても「大丈夫」と、保護者に伝える

クラスの担任をしていると、子どもたちの色々な姿や性格、また特徴や好き嫌いなどの違いがよく分かりますね。クラスの子どもたちはどの子も、とても素敵な個性にあふれて日々の生活を送っています。

それを目の当たりにしている保育者は、一人ひとりの細やかなや理解をしながら、保育を進めていくのです。今回の相談の「一人遊び」でも同様です。

その姿を捉えたのであれば、ぜひ保護者の方にも「一人遊びをよくしているけど、大丈夫です」と伝えてあげてください。一人でばかりいるのを“いけないこと”と思われ、心配される保護者は多くいるものです。

一人で遊んでいても「大丈夫」と、保護者に伝える

保護者と子どもについての話をしているときに、驚くことがあります。自分の子どもについてあまりよくわかっていなかったり、保育者と全然違う見方や感じ方をしているのです。

ここには、二つの理由があると思います。一つ目はとても簡単で、保護者は「子どもや子育てについての素人だから」です。つまり、子どもについての正しい理解や見方ができていないんですね。(もちろん、親というものはそれで良いのだと思います。プロの保育者ではないのですから。)

もう一つは、保護者には「比べる対象がいないから」です。これは、誰か他の子どもを比較して優劣をつけるということではありません。自分の子どもしか見ていないので、わからないのです。

例えば、お昼寝一つとっても、入眠の仕方、寝相や寝起きの良し悪しなどは本当に一人ひとり違う。保育者は、たくさんの子どもを見て関わる中で、子どもたちの多様性やそれぞれの個性に気がつきます。そこから、子どもに合わせて日々の保育のあり方や援助、環境を変化させることができるのです。

その前提は「一人ひとりに個性がある」という子どもへの理解。だからこそ、保育者が子どもたちの「違い」から感じる心配事は、保育の取り組みや環境、子どもへの見方を変化させる、大きなきっかけになります。

保育者の抱くさまざまな質問や疑問を、これから皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

小崎恭弘
大阪教育大学教育学部准教授。1968年兵庫県生まれ。兵庫県西宮市公立保育所で初の男性保育士として12年間、保育に携わる。NHK Eテレ『すくすく子育て』をはじめ、テレビや新聞、雑誌など多方面で活躍中。年間通して全国で育児指南を披露する子育ての講演を行う。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。『家族・働き方・社会を変える父親への子育て支援』『子どもの力を伸ばす!! じょうずな叱り方・ほめ方』など単著・共著多数。

(編集:佐々木将史)

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2020年2月10日
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