この園なら、子どもにゆっくり寄り添える。「諦めきれなかった」保育士の道、5年目で思うこと~保育の現場から~
“保育士”という仕事を、選んだきっかけって覚えていますか?
“保育士”という仕事で、一番楽しいなと思うことって何ですか?
子どもたちとのよろこびも、乗り越えた大変なことも、これからの目標も……。きっと一人ひとり、想いは違うはず。一言では表せない、保育士として働く「あなただけの」理由を、このシリーズではお届けしていきます。
今回、取材させていただいたのは、『ぬくもりのおうち保育 門真園』(大阪府門真市)の安達先生。学生時代に保育士の資格を取るも、自信を持ちきれず、別のお仕事をされていたといいます。今、何を想いながら働かれているのでしょうか?
保育士になったきっかけは?
安達先生、よろしくお願いします。始めに、簡単に自己紹介をお願いできますか?
安達千恵といいます。保育士としての経験は今年で5年目で、この園では2年目です。園自体が昨年度できたので、開園時から正職員として働いています。
どうして「保育士になろう」と思われたんでしょうか?
もともと子どもが好きだったんです。幼稚園や保育園で子どもたちと遊ぶ先生を見て、「なんかすごくいい仕事だなぁ」と思っていて。
高校を出るとき、そういう資格が取れるところに行こうと思って、短大に進学しました。
そこで、保育士と幼稚園教諭の資格を取られたんですね。
実習にも行って、すごく楽しかったですね。ただ、たくさんの仕事を目の当たりにして、「本当に自分にできるのかな?」という不安も出てきて。
怪我なく大勢の子どもたちを見れるかなとか、ちゃんと運動会の準備できるのかなとか…。悩んだ結果、ぜんぜん違う業界を選んで就職しました。
「やりたい」とは思いながらも、自信を持ちきれなかった。
そうなんです…。ただ、「いつか働いてみたいなぁ」とはずっと思っていました。
一度、自分が子どもを生んでから働こうと思ったときに、園の面接に行ったことがあります。けれどやっぱり、「フルタイムじゃないと…」と言われて。子どもの迎えに間に合わないから、そこも結局別の仕事にしました。
念願叶って保育士に。けれど…
保育士として働き始めた5年前は、子育てが少し落ち着いたタイミングだったんですか?
子どもが少し大きくなって、「今なら働けるかな」と思って。大きい園で、正職員として働かせてもらうことになりました。
ただ、初めてで大変ということもあったんですけど、電車通勤を含め、思った以上に時間が取られてしまって。朝は6時半に家を出て、帰ってくるのが21時とかだったんです。
それは大変ですね…。
なので、子どもがかなり置き去りになってしまって…。これではマズいなと思い、事情をお話しして1年で退職させてもらったんです。
そこから今度は、少し時間に融通のきく派遣職員として、別の園でもう2年間働きました。
2つ目の園で、働かれていて感じたことはありますか?
18人の1歳児を保育士3人で見るなかで、どうしても役割分担になってしまうんです。やっぱり子どもと接する時間がもっと欲しいなと感じました。
たとえば「トイレ担当」になると、その日はずっとトイレにいる。食事前にみんなで行ったら、私が戻るころにはもう食べてしまっている子がいる状態です。
仕方ないとは思いながらも、もう少しいろんな子どもたちの生活の様子や、成長の過程をゆっくり見たいなって感じてました。
それもあって、今の園に移られたんですね。
そうですね。やっぱり正職員になりたいという気持ちもあったので。ちょうど募集を見つけたのを機に、小規模保育園で働くことになりました。
一人ひとりに“じっくり関われる”幸せ
新設園でしたが、働き始めてどうでしたか?
何もやり方が決まってないなかで、最初は大変でしたね。でも、こっちが落ち着かないと子どもたちも落ち着けないので、早くちゃんとしてあげないとねって話してました。
保育士みんなで「前の園はこんなふうにしてたよ〜」とアイデアを持ち寄って、「そのやり方いいね」と決めたり、「あれ、あんまり良くないかも」って変えたり。
全員で相談しながら、少しずつ決めていかれたんですね。それまでの園と比べて、違いは感じますか?
小規模なので、子どもに対する保育士の配置にちょっと余裕があります。時間にもゆとりがあるので、一人ひとりの子どもの成長をじっくり見れる。
「この子はこういう子どもなんだな」っていうのが、しっかり分かってあげられるかなとは思いますね。そこはすごく良かったなって。
保育をしていて、どこに楽しさがありますか?
一番は、子どもの成長を見れることかなと思います。
特に0歳児さんは、1年間でも成長が大きいので。本当に最初コロンって寝転がってた子が、歩くようになったときとか、喋るようになったときとか。
1歳児さんでも、トイレができるようになったとか、2歳さんだとお箸が使えるようになったとかを見ると、やっぱり「うわ~!」ってなりますね(笑)。一緒に「やった〜!」って喜べるのが、すごく嬉しいです。
子どもたちとの関わりで、何か印象的なエピソードがあれば教えてほしいです。
なんだろう…毎日嬉しいことばっかりなので(笑)。
朝来たときに子どもたちが「先生〜!」って来てくれるだけでも「かわいいな」ってなりますし、絵を描いてて「これ、先生!」とか言ってくれると、「えぇ!ありがとう〜!」って思う。
大変な面もありますけど、それ以上のものをもらえるというか、癒してもらうことの方が多い。毎日幸せだなって感じてます(笑)。
保育士は「ずっと続けたい」
「大変な面」という点で、何か悩まれてることはありますか…?
子どもと向き合うなかで、「どうしてあげたらいいのかなぁ」と思うことはいっぱいあります。
たとえば、中にはやっぱり、なかなか座れない子どももいます。そういう子に、「今はみんなで食べるときだよ」とか「お話を聞くときは座ろう」というのをどう伝えていくか。
食事をしっかりとることも大事なので、ちゃんと食べられるように…と思っても、どうしてもいっぱいこぼしちゃうとか、いろんな悩みがあります。毎日積み重ねてやっていくしかないのかなとは思うんですけど。
ただ、それをゆっくり一人ずつ伝えてあげられるのは、やっぱり少人数の良さかなとは思いますね。
他に、今もっとチャレンジしようと思われていることがあれば教えてください。
今、0歳さんのおもちゃがちょっと少ないので、手作りのものをもっと作っていきたいですね。
口に入れても大丈夫なおもちゃを増やして、いろんな素材に触れて遊べるようにしたり、室内でも体を動かして遊べるものを作ってあげたいなって考えてます。
安達先生個人として、やりたいことなどはありますか?
他の園の子どもと合同で遊んだりとか、一緒に遠足行ったりとか、ちょっと違うお友達と関われることがあってもいいのかなぁとは。保育のなかでそういう機会がつくれたら、もっと楽しいかなって思ってます。
保育士は続けられますか?
はい。体と相談しながら、できれば定年まで続けられたらいいなって今は考えてます(笑)。
今回取材ご協力いただいた保育園
今回取材協力をいただいた「ぬくもりのおうち保育」は、「子育ての楽しさを共に分かち合い、共に成長する」・「人と人とがつながり、子育てに夢がもてる地域づくりに貢献する」を理念に、関西・関東・東海地方に展開する小規模保育園です。
一人一人にしっかりと愛情を注ぎ、優しい心を育てるアットホームな少人数保育を行っています。子ども達にとって第2のおうちになれるようなアットホームな環境作りを目指し、ママが安心して社会に出られるよう日々取り組みます。
おむつの管理が楽になる手ぶら登園
おむつのサブスク手ぶら登園( https://tebura-touen.com/facility )とは、保護者も保育士も嬉しいおむつの定額サービスです。手ぶら登園は、2020年日本サブスクリプションビジネス大賞を受賞し、今では導入施設数が1,000施設(2021年6月時点)を突破しています。
保育園に直接おむつが届くため、保護者はおむつを持ってくる必要がなくなり、保育士は園児ごとにおむつ管理をする必要がなくなります。