転職保育士のサービス残業の実態 -労働時間や対処法について-

保育士のサービス残業の実態 -労働時間や対処法について-

「休憩時間がない」「サービス残業は当たり前」「終わらない仕事は持ち帰る」

保育士の労働時間はマイナス面ばかりが強調されていますが、果たしてその実態はどうなのでしょう?

保育士から寄せられる労働相談の多くは、残業代未払いと休憩時間がとれないことだと言います。

ここでは保育士の労働時間の実態と残業しなければならない理由について明らかにし、保育士の時間外労働を削減するにはどんな方法があるのかをご紹介します。

保育士の勤務時間についての詳細はこちら↓

【関連記事】保育士の勤務時間の実態|長時間労働を避けるためにできることとは?

保育士の労働時間に関する基礎知識

保育士の労働時間に関する基礎知識

一般的に保育士は長時間労働・低賃金と言われていますが、実際はどうでしょうか。

保育士の一般的な労働時間

一般的に保育士は、早番>中番>遅番の3交代制で、労働時間は1日8時間のケースが多いようです。

労働基準法で、法定労働時間は1日8時間、1週間40時間が限度と定められており、法定労働時間を超えた労働時間は「超過労働時間」とされ「時間外労働」と呼ばれます。

時間外労働は原則で月45時間、1年360時間が上限であり、毎週に1日以上の休日、4週間に4日以上の休日が義務付けられています。

保育士の主な勤務形態

保育士の勤務は大きく2つの形態に分けることができます。

  • シフト制

    毎日の勤務時間が固定されておらず、異なる勤務時間帯を複数の従業員で担当して働く勤務形態のこと。パート・アルバイトなどはほとんどこの勤務形態となります。コンビニや病院など、人が常駐する必要がある職場で広く導入されており、変形労働時間制と併用されることもあります。

    ※変形労働時間制:職場の繁閑に合わせて、月・年単位での労働時間を調整して、月間の平均労働時間を所定内に収める働き方

  • 固定時間制

    就業規則で定められた固定の勤務時間で働く勤務形態のこと。一般的に広く採用されているいわゆるフルタイム勤務で、正社員で働く場合はほとんどこの勤務形態となります。基本的に従業員は同じ時刻に出退勤し、勤務時間を超過した労働時間(残業時間)に応じて、残業代が支払われます。

保育士の残業についての実態

愛知県内の研究者や保育団体がつくる「あいち保育労働実態調査プロジェクト」によると、勤務時間後に時間外労働をしたという人は87.7%にも及ぶそうです。

また、残業申請する習慣がないと答えた人は41.5%となり、サービス残業の常態化が数字としてはっきり出ています。

参考:あいち保育労働実態調査プロジェクト

これは愛知県内の数字になりますが、全国での実態とそこまで乖離していないでしょう。

では、実際の保育士の残業はどうなっているのでしょうか?残業事情について詳しく解説します。

保育士の残業時間は平均4時間?

労働政策研究・研修機構の調査によると、全保育士の時間外労働は月に平均4時間とされています。これを見る限りでは、一般的に言われるほど保育士の残業は多くないと思われるかもしれません。

しかし、この調査結果には「サービス残業」や「持ち帰り残業が発生している時間」は含まれていません。保育園(保育施設)によって違いはあるものの、いわゆる「給料に反映されない残業の多さ」に悩む保育士は少なくないようです。

労働基準法では法定労働時間を原則として1日8時間以内・週40時間以内と定めており、これを超えた労働は時間外労働となり原則週15時間が限度とされています。

参考:平成30年賃金構造基本統計調査

残業代はちゃんと支払われているの?

1日8時間、週40時間を超える通常の時間外労働の場合、基本的に時給の1.25倍の割増率で残業代が発生します。

保育園の場合はタイムカード通り残業代全額が支払われるところもありますが、多くはあらかじめ毎月の給料の中に一定時間分の残業代が含まれているみなし残業(固定残業代制度)を取り入れています。

とはいえ、残業代が実際の労働時間分きちんと支払われているところは少ないでしょう。

制度はあるのになぜ残業代の未払いが横行しているのでしょうか?

保育士の残業代未払いが発生している要因として、以下の3点があげられます。

タイムカード打刻後も仕事を続けている

保育園で子どもを見ている間は書類仕事や製作物、行事の準備などをする時間がありません。大抵は子どもが帰った後から溜まっている仕事を行うため、定時以内で帰ることが難しいのです。

これらのことから、定時を超えて残業する場合は定時でタイムカードを打刻してから仕事をするように指示している園もあります。

また、最も多いのはタイムカード打刻後家に持ち帰って仕事をするパターンです。

当然家で仕事をしていても労働時間に含めることはできますが、残業代の支払いを避けるためにサービス残業として扱われていることが多いようです。

タイムカードが存在しない

そもそもタイムカードが存在しない、労働時間をしっかりと管理していないという園もあります。

みなし残業で既に残業代を含めて払っているから、という理由で正しい労働時間を把握せず、みなし残業時間を超過した分の残業代を支払っていないという場合があるのです。

データとして労働時間が残っていないので、残業代の支払ようがないというのは大きな問題点でしょう。

みなし残業、変形労働時間制を誤って認識している

みなし残業(固定残業代制度)や変形労働時間制を採用している保育園が多いのですが、その制度自体を正しく認識していないケースがあります。

みなし残業も変形労働時間制も、週や月毎に決められている所定時間を超えた分の残業代は発生します。

この制度を正しく理解していない、あるいはあえてサービス残業をさせるために、「制度上どれだけ働いても追加で残業代は発生しない」と伝えている経営者もいます。

保育士がサービス残業をする主な理由

保育士がサービス残業をする主な理由

日報作成、保護者への連絡帳の記入などの事務作業が多い

事務作業は子どもたちがいる時間には十分に対応できないため、休憩時間や時間外にせざるを得なくなります。

製作物の作成に時間がかかる

壁面飾りや季節のおもちゃの制作などは、企画・デザイン・制作のすべてを行わなければならず、やはり保育業務以外の時間に回さざるを得ません。

季節ごとに繁忙期が頻繁に訪れる

春には入園式・卒園式の準備、秋には運動会など定期的なイベントがあり、これらの他にもお遊戯会、遠足、発表会などさまざまなイベント・行事が目白押しです。まさに1年中が繁忙期とも言え、残業は当たり前となっているようです。

人手が足りていない

残業になってしまう原因の一つに、人手が足りていないということが挙げられます。

このような環境での仕事は「過度の肉体疲労で体を壊す」「緊張やストレスで精神的に不安定になる」など、保育士の心身への悪影響が懸念されるうえ、やがては離職へと繋がっていきます。

保育士の残業を削減するための対処法

残業が多いとストレスや疲れが溜まって肝心の保育が疎かになり、最悪の場合保育園内での事故が発生する恐れもあります。

では、保育士自身が残業を削減するためにできることはなんでしょうか?

【関連記事】保育士は忙しい?忙しさ解消の業務効率化の取り組み

仕事の効率を高める

同僚の保育士と協力して作業を分担し合うことで、仕事の効率は格段にアップします。また業務を簡略化するための工夫も重要です。

たとえば毎年1回の行事の場合、その都度衣装や道具などを作るのではなく、過去に使ったものを使い回すことで、業務を軽減することができます。また保育支援を目的としたITツールなどの活用により、保育園全体の業務効率化が実現できます。

保育園に働き方の改善を提案する

保育士が声を上げることで働き方が見直される可能性があります。1人で意見を提案するのが難しい場合は、同僚の保育士に協力してもらうと良いでしょう。園長をはじめ、経営サイドが現場を十分に把握していないケースは多く、保育園の現状を変えるためには「現場の意見」を伝えることも大切です。

待遇の良い保育園へ転職する

どのような対応を取っても待遇が改善される見込みがない場合は、思い切って待遇の良い保育園に転職するのもひとつの手。

人数が多い、業務を効率化している保育園はたくさん揃っていますので、業務負担が少なく、残業することもない保育園へ転職することを考えてもいいでしょう。

残業の少ない保育園を見極めるポイント

保育士の残業についての実態

どれだけ残業を減らすために努力しても、自分ができる範囲では限界があります。改善が見込めないとなったら、別の保育園への転職を考えた方が良いでしょう。

自分がやりたい保育を実現できる園はきっとあるはずです。残業問題が原因で保育士を辞めてしまう前に、楽しく働ける保育園を探しましょう。

十分な人数の保育士が配置されている

子どもの人数に対して保育士の割合が高ければ高いほど、仕事に余裕が生まれやすくなります。人員に余裕があると、一人で抱える仕事量が減りますので、残業時間も少なくなります。

保育士は通常の保育業務以外にこなさなければ仕事がたくさんあります。事務作業・保護者への対応・施設の清掃など、1人当たりの業務量は膨大であり、保育園側が設定する保育士の適性人員数により、業務負担は大きく変わります。

業務効率の向上に取り組んでいる

ITの導入により、書類の作成や管理などの事務作業の負担を大幅に軽減できる可能性は高くなります。近年ではITを用いて妊娠、育児などを支援するシステム「ベビーテック」の導入により業務の効率化が進んでいます。

勤務体制の整備

残業を削減するための勤務体制が整備されているかの確認も重要。保育業務と事務作業をそれぞれ別の保育士が担当する体制が組まれている、早番・遅番のシフトが効率的に組まれているなど、保育士同士の連携が取れていると仕事の持ち帰りを防ぐことが可能となります。

保育園の行事が少ない

小規模保育園や企業内保育園などは行事が少ない場合があります。子どもの人数が少なかったり、園庭や体育館などのスペースがなかったりするのがその理由ですが、行事が頻繁にある保育園の場合、準備のために保育士の業務が増えやすくなります。

出し物の練習、衣装作り、壁面飾りの制作など、ひとつの行事に対しての準備には相応の手間と労力がかかるため「行事の多い・少ない」は業務量を判断する重要なポイントです。

そのため保育園によっては求人票に「行事が少ない」という点を特徴に挙げているところも少なくありません。

保育士の残業問題は早期に解決を!

保育士の残業はずっと続いている課題になっています。

解消するには人材の確保や業務の効率化など、運営側でしていかなければならないこともありますが、保育士一人ひとりでも対策することは可能です。

業務の負担を減らせるように工夫したり、保育園側に働き方の提案をしたりなど自ら動き出すことは間違いではありません。

ただ、それでも解決できないのであれば転職を視野に入れてもいいでしょう。

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2019年10月4日
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